民法900条4号ただし書き前段がなくなるまで

婚外子の相続分を婚内子の1/2と規定している

「民法900条4号ただし書き前段は、憲法14条に違反する」

との判決が日本の裁判所で初めて出たのは、

1993年6月23日、東京高等裁判所でした。


私はこの裁判の原告です。


違憲判決はでたものの、すぐに法改正に結びつくことはなく

2013年9月に最高裁で、3つの婚外子相続差別違憲判断が

でた同年、12月6日に婚外子の相続差別はなくなりました。
 
 




もう20年以上前の映画ですが、オリバー・ストーン監督、

トム・クルーズ主演の『7月4日に生まれて』という

映画がありました。


ロン・コーヴィックの自伝的小説を映画化したもので

ベトナム戦争を扱ったこの映画は高い評価を得たようです。


残念ながら私は見ていないのですが、丁度上映されていた

頃に、「『7月4日生まれて』の主演のトム・クルーズの

本当の誕生日は7月3日」という記事を読み
ちょっとおもしろく感じたものでした。

 


 

 

7月4日とは、もちろんアメリカ建国記念日。

 
トム・クルーズの実際の誕生日は、その一日前の

3日だということですが、実は私も同じ日です。


ただ私の場合、「7月3日に生まれて」というよりは

「婚外子に生まれて」という言葉の方が、残念ながら

私を説明する言葉としては、適切かもしれません。

 



生まれてから10年以上も自分が婚外子だということ

すら知らないまま、母と姉と3人暮らしの私が25歳

の時に母が亡くなり、婚外子相続差別に
直面せざるを得なくなりました。


その9年後の父の死のあとに、夢にも思わなかった

婚外子相続差別裁判をすることになります。






 そしてそれは、夢にも思わなかったという言葉を

はるかに上回る驚きの、婚外子差別裁判における初の

「違憲決定」という結果で終わったのです。


婚外子差別をなくす運動をしている人々は、この判決に

より婚外子相続差別撤廃は確実になった、次は婚外子の

戸籍の差別記載だという勢の中にいたように思います。


 



ところが、またも思いがけないことに、婚外子相続

差別の法改正がなされることはありませんでした。


納得のいかないまま月日は過ぎ、20世紀は終わり

21世紀に入った2013年9月、最高裁は3つの婚外子

相続差別違憲判決を同時に出します。


そしてその後、民法900条4号ただし書き前段は

改正され、婚外子の相続差別がなくなったのです。

2013年12月6日のことでした。