「性未分化で生まれた赤ちゃん、手術で性を決めて良いのか」

2019年1月15日の BBC  News JAPAN からです。


「性未分化で生まれた赤ちゃん、手術で性を決めて良いのか」
というタイトルの下には、以下の文章があり、動画が
添えられていました。

 

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国連によると、世界人口の1.7%が「インターセックス
(間性)」、つまり性的に未分化な状態で生まれてくる。
生まれつき赤毛の人と同じ割合だ。

こうしたインターセックスの状態で生まれる新生児の
多くが世界各地で、男か女かのどちらかを決める手術を
受ける。
もちろん、本人の同意なく。

場合によっては、それが悲惨な結果を引き起こす
こともある。

 

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動画に添えられていた文章の書き起こし


ジョンさんは、生まれつき
男性器と女性器の両方があった
現在14歳のジョンさんを出産の際、
母アンさんは混乱した

赤ちゃんはどこがおかしいのか、
お医者さんに尋ねると
男の子か女の子かわからないので
検査が必要だと言われた

医師団はペニスを取り除いた
母親は無理やり同意されたと話す
しかし、ジョンさんは次第に
自分を女の子と思わなくなった
自己像が定まらず何度か自殺を試みた

ケニアでは今も「インターセックス(間性)」
つまり性が未分化の子どもが殺される
インターセックス手術の指針を
政府はまとめようとしている

国連によると世界人口の1.7%が
両性具有の特徴を持って生まれる
手術が必要な場合もある
がん発生のリスクがあったり
排尿がしづらいなどの場合は

インターセックス手術は
北半球でも行われている
米英を含むほとんどの国が実施する

米出身のロージーさんは出生時
特に手術はなかった
両親は手術を強く勧められたが
同意しなかった

放っておいたらロージーの人生は
悲惨なことになると散々脅されましたが
全くそんなことはなかった
脅されたことは何も起きなかった

ロージーは元気ですすごく
元気で最高です
他の子どもと一緒で
調子のいい日も悪い日もあるけど
一緒にいて本当に嬉しい
なので普通の子どもなんです

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以上が、BBC News JAPAN のサイトに書かれて
いた文章と、動画からの書き起こしです。

 

これを読んで私は、20年近く前に読んだ本を
思い出しました。

といっても題名も著者も覚えていないのですが、まさに
この記事にある「ジョンさん」のようなケースでした。
場所は、欧米のどこかの国だったと思います。

その子も、子どものうちに手術をして「女の子」として
育てられることになり、その本にはワンピース姿の
写真が添えられていたように記憶しています

手術の際に医師や専門家である学者は、女の子として
育てればそういう風に育つ、というアドバイスを
自信をもって母親にしていました。

しかし、これまたジョンさんと同じように、その子は
「自分は女の子ではない」と思うようになったのです。

その子は自ら男の子として生きるようになり、成人した
後に女性と結婚しましたが、自殺をしてしまいました。

それが何歳だったか、婚姻中だったか離婚後だったかは
定かではないのですが、おそらく20代か30代。
まだ、若い頃だったということだけは、はっきりと
覚えています。

今回のBBCのタイトル「「性未分化で生まれた赤ちゃん、
手術で性を決めて良いのか」は、上記の本を読んだだけに
より一層、共感を覚えます。

少なくとも現在の時点で人間は、両性具有で生まれた子の
「本当の性」などわからないのであり、したがって誕生後
すぐどちらかに決める手術など、決して行ってはいけない
のではないだろうか、と思えてなりません。

手術に関する技術上の問題はないにしろ、多くのジョン
さんたちのような人に対して責任をとることは不可能です。

人工授精の時も(「非配偶者間で生まれた人工授精の子」
同じことを思いましたが、手術等の成功にだけ目を奪われ、
一番大切なその子の人生が損なわれたり、傷つけられたり
することあったなら、それらの措置は失敗でしょう。

そして何より怖いことに、それによって引き起こされた
不幸に対しては、誰一人責任をとって償うことができない
取り返しのつかないことになってしまうのです。

人間は、もう少しだけ謙虚にならなくてはいけないのでは
ないか、と思った記事でした。