規約人権委員会(自由権規約)第3回フランス政府報告書(抜粋)

規約人権委員会(自由権規約)への
第3回フランス政府報告書(抜粋)

1、財産以外の事柄に関する非嫡出子の法的地位

376、フランスの法律では、民法334条に
嫡出子と非嫡出子における平等の原則があるが、
異なった種類の非嫡出子間、つまり、「通常の
(ordinarry)」非嫡出子と「姦通による
(adulterine)」非嫡出子——法廷な定義では
妊娠時に父親または母親が他の人との結婚の
きずなにより束縛されている場合の子ども——
についても同様に平等を認めている。(334条2項)

377、唯一特別な点は、近親相姦に関するものである。
民法334条10項には「非嫡出子の父親と母親の
間に161、162条に規定するような結婚の障害
が存在する場合…どちらか一方がすでに親族関係、
親子関係が確立されている場合、もう一方の
親子関係は禁止される」との規定がある。

138、最後に、非嫡出子への親権の行使に関しては、
民法374条2項の規定、両方の親が子どもを認知
した時には「親権は母親により完全に行使される」
に留意すべきである。
しかし、同条項に以下のような規定もある。
法廷は、「にもかかわらず、どちらか一方の要求、
または公的検察官の要求により,父親のみ、
または父親と母親の共同で親権を行使するとの
判決を下すこともできる…」

 

2、非嫡出子と相続

379、原則として、非嫡出子は嫡出子と同等の
相続の権利をもつ(民法575条)。
しかし、姦生子の権利は、姦通の犠牲者である
配偶者や嫡出子と競合する場合、少なくなる
(民法759,760条)〈1997年7月審議の後、
婚外子差別撤廃の勧告が出された〉
〈2001年2月 欧州人権裁判所でも、
相続差別は人権条約違反との判決出される〉
2001年12月4日 婚外子差別撤廃される

 

 

 

規約人権委員会 ジュネーブ 1993.10.27(水)1278委員会

1993.10.27(水)1278回委員会 午後3時〜6時

規約人権委員会

 

(渡部、法務省国際課長)

私は、日本語で発言します。
まず、婚外子の問題について、民法第900条4号但書
は、被相続人について,非嫡出子と嫡出子でない子
の双方があり、かつ被相続に人が遺言により相続分
を定めなかった場合の嫡出でない子の相続分は
嫡出子の2分の1としているわけであります。

すなわち、我が民法は、相続人が嫡出子のみで
ある場合と、相続人が嫡出子でない子のみで
ある場合について、その相続に差異を設けては
いません。

また、被相続人が遺言によって自己の相続人で
ある嫡出子でない子に対して、自己の相続人で
ある嫡出子と同じ、またはそれよりも多い相続
分を与えることも否定していません。

ただ、被相続人がそのような遺言をしていない
場合にのみ、嫡出子と非嫡出子でない子の相続
分に差異をもうけているものであります。

この規定の目的は、正当な婚姻関係にある夫婦
とその間の子から形成される、正当な家族関係
を保護しようとすることにあります。

我が国の法制は、一夫一婦制の下で、夫と妻
およびその間の未成熟の子を家族の基礎的単位
としています。

正当な婚姻関係によって形成された家族
の保護は、憲法上の要請でもあります。

この観点からすると、正当な婚姻関係から
出生した子と、そうでない子との利益が
対立する場面において、正当な婚姻関係
から出生した子の利益を図ることによって
家族の保護を図ろうとしているのが
民法900条4号但書の規定であります。

その目的は、合法的なものであります。
また、相続は、私有財産性の維持の観点から
被相続人の死亡により帰属を失うことになる
財産を、誰に承継させるかという問題であります。

これを相続人の側から見ますと、被相続人
の死亡に伴う反射的利益としての性格が強い
のであります。

相続分に差異を設けることによる不利益は
人が本来有する権利を剥奪することによる
不利益に比べれば、小さいのであります。

目的の合理性と較べても、不当な差を
設けるものとはいえないのであります。

なお、本規約が23条において家族制度を
社会の自然かつ基礎的単位として認めて
いること、国連事務総長によって出された
規約の草案注釈の内容、それから本条約
の審議経過に照らしますと、相続に関する
事項について、嫡出子と非嫡出子との間の
区別を廃止することを要求するものと
解することはできません。

民法900条4号但書は、本規約に
抵触するものではないと考えます。

なお、この規定につきましては、我が国内
でも憲法の規定、本規約に違反するとの
意見もあります。

これと同じ見解に立つ高等裁判所の
判決もございます。
先ほど、委員がリファーされたのは
この判決でございます。

他方で、この規定は、憲法および本規約
の規定に反するものでないとする高等
裁判所の判決もあります。

この点に関する最高裁判所の
判決は、いまだ出ておりません。

一方、この問題に関します国民
の意識について申し上げます。

1979年に実施された世論調査によりますと
嫡出子と嫡出子でない子との相続分を平等
とすることに賛成するものが16パーセント
であります。

これに反対するものが48パーセントでございます。
法務省におきましては、1979年7月、司法界
や大学、婦人団体等の関係各界に意見を
求めました。

この時点でも、先ほど話したとおり、国民の
反対が多かったうえ、関係者の意見も国民
感情に反し、時期尚早であるとの反対意見
が少なくありませんでした。

そのため、嫡出子でない子の相続分は、
嫡出子である子の相続分と同等とすると
いう案について、改正を見送りました。

また、1980年の相続法の改正に関しまして
国会審議の際に反対意見も述べられています。

そのため、嫡出子と非嫡出子の相続分を同等
とすることについては,国民の合意が得られ
ていません。

この問題は、正当な婚姻による妻や子等の
家族の保護と、嫡出子でない子の保護との
調和という観点から、立法政策上の問題と
して解決を図るべきだという意見も強い。

今後も、このような取り扱いを維持するか
否かにつきましては、国民の価値観の変化、
国民世代の動向等を見極めながら、慎重に
検討する必要があると考えています。

次に、戸籍面についての問題についてお答えします。
子どもが認知されました場合には、民法
791条1項の規定により、家庭裁判所の許可
を得て父の氏を名のることができるように
なっております。

婚外子の数について質問がありましたので
お答えいたします。

 

 

規約人権委員会 1278委員会 ジュネーブ 1993年10月27日(水) 午後3時〜6時 

1993.10.27(水)1278回委員会 午後3時〜6時

(25)再開        P94〜

(ヴェナーグレン議長)

これより会議を再開します。
質問事項第1章に関して発言を希望されている
リストにしたがって会議を進めます。
もし午前中に提起された争点に関して特に発言を
希望する方がいなければ、リストにしたがい、
ハーンドゥル氏に発言を認めたいと思います。
ハーンドゥルさん、どうぞ。

 

 

(26)ハーンドゥル委員(オーストリア)の質問

(ハーンドゥル委員)

議長、ありがとうございます。
本日の午後の最初の発言者ですので、午前中に
おける賛辞のいくつかを繰返したいと思います。

まず、日本の第3回定期報告書を「提出」し、
またこのような言い方が可能であれば、「防御」
するためにジュネーブまでやってこられた
著名な日本代表団に感謝したいと思います。

代表団に是非知っておいていただきたいのは、
私個人として、この委員会の尊敬されている
委員である安藤氏に最大の敬意を有している、
ということです。

私が3年前にこの委員会の委員となってから
共に仕事をさせていただいております。
彼は現在、委員長であります。

私は彼に対して最高の評価を有しており、彼の
この委員会に対する貢献を賞賛するものであり、
また人権全般のために彼が貢献していることに
たいしても賞賛したいと思います。

彼は、いまやさまざまに複雑な人権問題を
長年にわたって扱ってきており、前述したように
彼自身非常な貢献を行っているわけです。
このことを高く評価したいと思います。

賛辞に関して、報告書自体も高度
な質を持ったものであります。
私は、この報告書の起草者に
賛辞を送りたいと思います。

どれほど多くの作業や省察がこの文書に
関して行われているか明らかです。
議長、では以下に、質問事項第1章に
関する最初の一連の問題および議論に
関して質問させていただきたいと思います。

私が質問したいと考えていたことのほとんど
は既に質問され、また私はそれを繰返したい
とは考えておりませんが、少なくとも2〜3の
事柄に関して質問させていただきたいと思います。

というのは、それらについて若干
強い印象を持っているからです。
最初の問題は、再び称讃の言葉になりますが、
明らかに、日本では規約が非常に知られている、
ということです。

それが何を意味するかということを別にしても、
日本のNGOや個人が規約について知っており、
また思うに、その証拠はこのようにたくさん
の文書を委員会の我々が受け取っていること、
また多くの傍聴者がこの討議を傍聴するために
こられているという諸事実によっても明らかです。

NGOが言いたいことは、日本政府によって
考慮されることになるのを希望していますし、
また政府もこのように膨大な―—「膨大」と
いう言葉を強調したいと思いますが――文書が、
日本における規約の実施に関してNGOにより提出
されているということをご存知のことと思います。

さて、議長、私が問題にしたい最初の真に
実体的なトピックは、再びその問題を取り上げて
恐縮ですが、規約と国内法との関係です。

私は、日本国憲法第98条を取り上げたいと思います。
第98条では、この憲法か「国の最高法規であって、
その条規に反する」法、条例、詔勅、政府の行為
の全部、または一部は法的効力または有効性を
有しない、と宣言しています。

これが、問題の核心に直接的に
私の関心を引きつけるのです。
規約の規定と憲法自体の人権規定との間に
矛盾・乖離があった場合には、憲法の文言
により、規約の規定、それが国内法に融合
していたとしても、何らの法的効力も有し
ないことになります。

したがって、これは私の最初の質問ですが、
実際に矛盾が生じた場合はどうなるのか、
ということです。

1998年、第2回定期報告書の討議の際に、
日本代表団は、規約の規定と日本の立法
との間には何らの衝突もかつて発生した
ことがない、と言われました。

これはサマリー・レコード(要的記録)
の827頁にあります。

しかし、憲法のなかに1組の限定された
人権規範と、異なった仕方で形成された
1組の規範を有していますので、締約国が
報告書のなかで述べているような簡単な
答えを出すことは困難だと思います。

しかしどのような言葉使いであろうとも
原理がそこ(憲法の規定)にありますの
で……つまり、これは規約の規範に関す
る言葉使いの問題、解釈の問題であるわ
けです。

これは私のコメント第1です。
(P.96〜)私のコメント第2は、
人権の制約に関する問題です。

報告書の第5項は、人権が公共の福祉に
よって制限されうると述べています。
それが基本であり、続いて公共の福祉が
何を意味するのか、またその意味を決め
るのは裁判所であるということについて
説明が試みられています。

ところが、憲法第12条および13条を見て
みると、立法者または行政府が人権を制
限するための権限が何ら書かれていません。

第12条および13条は、個々の人権の個人自身
による「利用」について定めているのです。

第12条をちょっと引用してみますと、
「この憲法が国民に保障する自由および
権利は、国民の不断の努力によって、
これを保持しなければならない。
また、国民は(自由および権利)を濫用
してはならないのであって、常に公共の
福祉のためにこれを利用する責任を負う」
とされています。

つまり、一定の責任が明らかに
個人に課されているのです。
そして、思うに、これが一般的に、
人権概念と矛盾するのです。

何故なら、人権概念に内在するものとして、
個人と国家との関係、および国家や国家の
機関により尊重されなければならない
個人に属する人権が存在するのであり、
したがって、利用しまたは責任を負うこと
または自己の人権を公共の福祉のために
利用しなければならないことを、個人の
責任とすることはあり得ないのです。

これは、思うに、日本国憲法第12条、
13条と、政府報告書第5項において説明
されていることの矛盾関係です。

他の発言者がすでに述べていますので、公共
の福祉の概念についえは言及いたしません。

申し上げたいことは、規約によれば、ただ
特定の権利のみが公的利益や公的秩序を
理由として制限されうるのであり、また
国家によっても全く制限できない権利が
存在する、ということなのです。

私の第3のコメントは、平等および女性の平等
について述べられたことに関するものです。

わたしは、平等の報酬に関する日本政府と
ILO専門家委員会の間の多岐にわたる意見
についていくつかの懸念を有しています。

以下のような事実にはあまり言及したくない
のですが……思うに、女性は、事実の問題
として、明らかに、低賃金の労働を割り当て
られており、調査によればわずか23%の企業
しか女性をあらゆる(種類の)仕事に就かせ
ていないとのことです。

また、女性は、事情に婉曲的な言い方をすれば、
「女性としての特徴および感受性を示すことの
できる仕事」に就いてもらっている、という
人もいます。

このような言い方自体が、いくぶん、
差別的な刊行を示しているものです。

(220)私は、婚外子の相続、(戸籍)登録
の必要性、およびその権利に関する一定の
範囲における差別について、サディ氏やその
他の委員が言われたことを支持したいと思います。

私は、平等に関する私の発言との関連で、
日本国憲法第14条を引用したいと思います。

「人種、信条、性別、社会的身分又は門地
により、政治的、経済的又は社会的関係に
おいて、差別されない」

と定める第14条は、2つの点において制限的
なものです。
第一に、問題は、差別のための理由が十分
なものであるかどうか、ということです。

それは、人種、信条、性別、社会的身分
又は門地のみに限られるのでしょうか。
一般的にその他の領域においては
どうなのでしょうか。

また、実体に関して、いかなる差別も
政治的、経済的又は社会的関係において
行われてはならないのです。

さて、それが、少数民族等に影響を及ぼす
文化的関係におけるような、その他の
問題に関する制限なのです。

これらの2つの制約は、それが適用される
範囲に関して、どうなっているのでしょうか。
この点に関して回答していただければ
ありがたく思います。

議長、最後に、私は、日本社会における
特定の集団の取り扱いに触れたいと思います。

平等に関する規約第26条、少数民族に
関する第27条が適用になるものです。
私は、まずアイヌ民族に関して
話したいと思います。

彼らの取扱いについては、第27条の下で
いくつかの説明がありましたが、私の
質問は、アイヌ人に関する基本的な規範
が1899年に制定された「北海道旧土人
保護法」に依然として依拠しているのは
事実かどうかというものです。

したがって、我々は、まもなくこの法律
によれば、アイヌは、北海道の原住民で
あるとされており、「保護法」ですから、
その保護について述べられています。

私は、他国において行われているのと同様
に、法律の改訂の時期がきていると思います。

そして、この法律により依然として合法的
なものとされている差別を除去すべきで
あると思います。

規約第27条の下で少数民族が保護に必要
とされることは、国が彼らを集団として
保護することです。

言及したいその他の日本社会における
(問題)は、同和の人々、一般的には
「部落民」と呼ばれている人々です。

報告書の第230項に同和問題に関する短い
記述があり、また部落民の(地位を)改善
するために政府が過去において行ってきた
ことに関する補足説明がありました。

さて、議長、これは5年前に報告書で
討議された事柄でありますが、政府が
その人々の運命を改善するためにさまざま
な努力を重ねているとはいえ、我々は皆、
依然として差別されている部落民と呼ばれ
ている人々が日本には存在するということ
を知っています。

私の主張は、あらゆる可能な措置を講じて、
日本におけるこの「部分」を社会全体の中
に統合し、またおそらくこの世代において
できなくても、次の世代においては、一般
の日本人と同和地区の人々と報告書で記載
されている人々との間にいかなる「区別」
もないようにすべきだ、ということです。
これは規約の平等条項の本質的な特徴の一つです。

 

 

(29)ヌジャーイェ委員(セネガル)の質問
             (p.101〜)

(ヴェナーグレン議長)

セリエさん、ありがとうございました。
ヌジャーイェさん、発言をどうぞ。

 

 

(ヌジャーイェ委員)

議長、ありがとうございます。
議長、最初に日本からの有能な代表団
に対して、私の心からのお祝いをさせ
ていただきたいと思います。

日本は、非常によい第3回報告書を提出
してくださいましたし、それは全体とし
て優れた、詳細な、率直なものです。

私は、まず、同僚と同様に我々の現在の
委員長である安藤氏に非常に満足している
と申し上げたく存じます。

彼は有能、熱心かつ仕事に専心している
人であり、常に親切な方で、それが(委員
会の作業のために)非常に役立っています。

ただ一つ残念なのは、この委員会が日本で
開催されなかったということであり、もし
開催されていたならば日本の方々、また私
を含むこの委員会の委員の好奇心を満足
させていたはずである、と思います。

議長、我々が日本の第2回報告書を審査した
際、私は、私自身の国セネガルのように、
アイディンティティーを主張したい国と
して、日本は特に興味深い国であると
強調いたしました。

何故なら、日本は非常に古くからの文明を
持つ国でありながら、現在では近代化され
ており、いまや最も進んだ科学・技術を
持っています。

日本では、尊敬される夫や妻、その他に、
文化的伝統が一定の諸価値に基礎をおいて
いる国です。

したがって、このような国においては、
人権の尊重はさまざまな問題を生じさせる
かもしれません。

したがって、以下のような質問をして、
私の質問を終わりたいと思います。

人々の中に、このような進歩に対する
何らかの抵抗がないのでしょうか。

この問題を再びうかがうのは、報告書
第89(a)項において、男女の平等に
関する改革の再評価がありますが、
そこには、諸制度におけるもののみ
ならず、実際の実務における、女性の
向上に関するステレオ・タイプ的な性別
に伴う男女の役割が記されています。

また、母性の重要性、性の尊厳そして
母性の保護の促進のための意識の向上
の促進について書かれています。

同じ項目の(b)、英語版の18ページの
本文の89ページなど、中長期的プログラム
に関しては、法律や命令に示されている
日本政府の意思と、これらの権利に対する
抵抗を示している一般的な(労働)規約と
の間には、一定の不調和が存在するように
思われますし、それは別の項目についても
同様に存在するように思います。

これは、日本の国際的責任の問題をとりわけ
発生させるわけではありませんが、しかし、
基本的な選択に関する問題を発生させます。

おそらく人権教育の分野で行われ
ている努力があるでしょう。
というのは、そのレベルにおいて規約の
適用可能性に関する問題が生ずるからです。

我々がいかに感謝しているかということ
に関して、日本の代表団にお知らせしたい
と思います。

また、さまざまなNGOが報告書を提出して
くださいましたが、それらの報告書および
ここにいらしてくださったNGOの方々を
歓迎したいと思います。

おそらく、HGOが、当委員会のさまざまな
コメントを一般に知らせていただけると
思います。

したがって、規約第40条に基づき、これが
あなた方のシステムを改善するのに役立つ
と思います。

更に、終わりにあたっていくつかのコメント
をしたいと思いますが、ヒギンズさんが私の
言いたいことのほとんどを言ってください
ましたので、端的に申し上げますが、日本は
選択議定書批准の努力をすべきであると思います。

選択議定書に関して法的機構と国際機構の
関係においてあまりに懸念される必要は
ないと思います。

既に述べられているように、国内的救済を
尽くさなければならないとのルールもあり、
委員会は考えられるさまざまな濫用に対応
することもできます。

我々の先例には、我々が事案の重要性を
モニターする方法や、個人通報が依拠すべき
理由などを示す事件をお示しできるものも
あります。

また、何故、日本があらゆる形態の差別
撤廃条約、アパルトヘイト禁止条約を批准
をしないのかということを理解することが
困難です(訳注・日本は批准しており、
委員会の誤認と思われる)。

アパルトヘイトに関して、外交のみならず、
財政的、経済的にも、日本が過去および
現在において行っているさまざまな努力を
知っており、南アフリカの国民の発展を
可能にするプログラムや情報もあります。

報告書の31項に記載されています。
たとえば、第35項において、日本国憲法は、
第14条1項において個人の尊厳と法の下に
おける平等を定めていますが、そこでは
「何人も」と定めており、「人種、信条、
性別、社会的身分又は門地による差別」
があってはならないとされています。

これらが規約に完全に一致しあるいはそれに
等しいアパルトヘイト反対の基本的な規定です。

あらゆる種類の人種的差別を除去するため、
除去に関する条約およびアパルトヘイト
禁止のための処罰が必要です。

これらは、日本だけにおいて
生ずる問題ではありません。

イデオロギーや宗教に支配されている全て
の国において、嫡出子および婚外子の間の
差別があります。

また、場合によっては、姦通によって
生まれた子どもに対する差別もあります。

規約第24条にしたがって
立法が行われるべきです。

NGOから得られた膨大な情報によれば
会社や企業の内部においてさまざまな
差別が存在するようです。

それらの差別によれば、人々を酷使し、
忍耐に基礎をおくような差別、長時間に
わたる労働可能能力による差別がある
ようです。

ある会社では、1日14時間以上も
働く必要があるとのことです。

そうでなければ,労働者として適当で
なく、仕事を失うこともあります。

NGOから受け取ったこのような情報の中
には、かつての軍人であって,日本国籍
の同僚軍人であったものと同じ取り扱い
を受けていないことを主張している人々
もいます。

もし必要であれば,お渡ししてもかまいま
せんが、これらの文書にはこの委員会の
管轄内に属することが書かれており、規約
の26条に、事実、違反するものかどうか
我々としても検討すべきです。

我々は、それをあなた方とともに
見ていかなければなりません。

以上が、私が今申し上げたいことの
全てであり、また後ほど、関係の章
で発言したいと思います。
議長、ありがとうございました。

 

 

(30)アギラー委員(コスタリカ)の質問

(ヴェナーグレン議長)

ヌージャーイェさん、ありがとうございました。
発言予定者のリストには、あと一人の予定者が
残されています。

その後、フランシスさんに発言していただきます。
では、アギラーさん、発言をどうぞ。

 

(アギラー委員)

議長、ありがとうございます。

私が最後の発言者であることを本当は希望しません。
しかし、私が考えていた質問の
全ては、既に質問されました。

私は、このような非常に重要な
代表団を歓迎したいと思います。
私がかつて経験したものの中で、
最も印象深い代表団です。

特に、彼らは非常によく準備が出来ています。
また、我々の委員長の安藤氏の貢献に対する
賞賛について同僚と同意見であります。

我々は、4年間、私の唯一の隣人でありました。
私は、この委員会の委員となって、彼の左側
の席に着席していることを心から嬉しく
思っております。

彼は私の右側にいるわけですが、私の最初
の経験は,この委員会での居心地をよくして
いただき、その援助を得たということであり
その意味でも感謝しています。

議長、私は、他の委員によって行われた質問
を再び行うためにこれ以上の発言を求める
ことをいたしません。

しかし、私の同僚が質問したことを一層強調
するために2〜3の質問を非常に短く行いたい
と思います。

私の最初の質問は、日本の法律における
規約の位置が正確にはどのようなもので
あるか、ということです。

最初の2回の報告の審査において、特に
第2回の報告書において、委員会は、規約
に関する取扱いが国内法によって変更さ
れるべきではなく、規約は国内法の一部
となっている、との報告を受けました。

しかし、既にさまざまな機会に、日本の裁判
所は、以下に私が引用するように述べています。

すなわち、見方によっては、これは以前に
我々に語られたことに極端に反しています。

したがって、私は、日本の法律における
規約の位置が正確にどのようなものである
かということを知りたいのです。

また、私のところにやってきた何人かの
方々から、またここで発言された委員に
よって、女性、少数民族、非嫡出子に
対するさまざまな差別が指摘されました。

それらのケースはたくさんあります。
また、個別のケースについても言及されました。
また、私以前に発言された全ての同僚に賛意を
表したいと思います。

また、私が個人的に重要であると考えている
2つのケースについて述べたいと思います。

第1は、非嫡出子に関するものです。
相続に関する質問がありましたし、姓名に
関する質問、すなわち(戸籍)登録に
あたって他の日本人の子どもには認められる
表記が認められないこと、などがありました。

私は、これは非常に残念なことであると思います。
特に、マブロマティス氏が既にいわれたように
差別やその携帯に関するもの以外に、第7条の
定める非人間的かつ品位を傷つける取扱いが
存在すると思います。

他に何らの責任も持たない子どもが、社会に
よって責任をとらされ、また社会と日本の
法律によって差別されているのであり、
したがって、私は、マプロマティス氏の
言われたことに賛意を有するのです。

日本政府が法律を抜本的に変更し、また
大規模かつ核心に迫る教育を行って、
婚外子に対するこのような差別がなくなる
ように努力されることを促したいと思います。

また法律婚と事実婚における違いがあるようです。
たとえば、規約第23条に関して離婚後の父親
のいない家族を保護するための措置が講じら
れている、といわれましたが、しかし、父親
がまったくいない家族に関しては、何も報告
されていません。

これは差別にあたります。
何故なら、離婚後に父親が不存在となった
家族と、父親が初めから不存在であった
家族との間に、差別があるからです。

たとえば,子どもの保護または家族の保護
のための財政的援助について言及がありま
したが、コモン・ロー家族(事実上、家族
を構成している人々)であって、両親が婚姻
していないて同居している「家族」について
は何も報告されませんでした。

重大な懸念があるもう一つの問題は、
タジャーイェ氏が提起した最後の
ポイントに関してです。

それは、第二次世界大戦において、自己の
生命を危険に曝すことにより、自分の生命
を提供しようとした人々です。

現在、彼らは、他の日本軍人であった人々に
与えられている権利の享受を奪われています。

彼らのある者は、過去において日本国籍
を有していましたが、戦後の状況により、
他国の市民となり、また、日本軍に属して
いたことを理由に、彼らは彼らの国に
おいて差別されています。

そのほか、日本国民である退役軍人と
日本国民でない退役軍人との差もあります。

国籍を有するものは退役軍人恩給を受ける
資格がありますが、朝鮮・韓国人、台湾人
の(旧日本兵であった)者は資格を持って
いません。
彼らは恩給を受けることができないのです。

タジャーイェ氏が言われたように、委員会
に個人通報事件として提出されたゲイエ
事件がありますが、これを当委員会の先例
に照らしてどのように考察すべきが考えた
いと思います。

以上、いくつか申し上げましたが、さらに
報告書のいくつかのポイントに触れたいと
思います。

まず。公共の福祉についてですが、國方氏
が今朝、規約上の権利の制限との関連で
公共の福祉の問題に言及された時、2つの
権利の衝突が問題にされました。

そのような衝突は、一定のケースにおいて
法律がある権利よりも他の権利を保護する
のであると(説明し)、また彼は、表現の
自由との関連における名誉の保護に関して
特定な例を挙げました。(略)