古川有子
法律上の結婚をしていない男女間の子ども
(婚外子)の戸籍の続柄が 「男」「女」と
表記され嫡出子と区別されていた問題で
法務省は11月から嫡出子と同じく、「長男」
「長女」などという表記を採用し統一を図った。
しかし、婚外子がこれまでの記載を変更
するには、本人や母による申し出が必要で
変更できること自体を知らない人も多い。
このため、専門家から「国が責任を持って
記載をあたらめるべきだ」との批判も出ている。
変更のきっかけとなったのは,事実婚の
田中須美子さん、福喜多昇さんとその長女
=東京都在住=が「戸籍の続柄欄における
差別記載の差し止め」を求めた裁判だ。
東京地裁は今年3月、「婚外子と判別できる
記載はプライバシー権を侵害する」との
判決を出した。
これを受け、同省が戸籍法施行規則を改正した。
この結果、戸籍表記での婚外子差別はなく
なったかに見える。
しかし、課題も残ったようだ。
田中さんは
「表記を『長男』『長女』などとするよう
統一した点と、既に記載されている婚外子
だけ申し出によって変更するとした点は
大きな問題」 と指摘する。
まず、改正に伴い、嫡出子は父母との続柄
で「長男」「長女」などと記載されるのに
対し、婚外子は母との場合、同性だといず
れの子も「長男(長女)」の表記となり、
結果的に婚外子と判別できてしまう。
田中さんは
「家制度下の長男、長女という序列付け
はやめ、住民票のように、嫡出子も婚外子
も『男』『女』と表記すべきだ」
と主張する。
一方、変更手続きの方法が十分に周知
されていない問題もある。
札幌に住む婚外子の女性は言う。
「頼んで『女』に記載してもらっていた
わけではないのに、それを訂正するのに
なぜ本人が申し出なくてはいけないのか。
自分は婚外子だと申し出るのは精神的な
負担が大きい」
と怒る。
このような状況に対し,家族をめぐる
問題に詳しい布施晶子・札幌学院大学長
(家族社会学)は
「これまで国の職権で戸籍の続柄記載」
続柄で記載されるようになったことに
よる問題がある。
例えば、同じ母が嫡出子と婚外子を出産
している場合、同じ戸籍の中に長男が
二人存在したり、二男よりも年下の長男
がいるという事態も起こりうる。
子を持つ法律上の夫婦が婚姻関係を解消し
「事実婚」を選んだ後に出産した場合など
に発生するケースという。
