同性婚をした息子のために、61歳女性が代理出産 アメリカ

同性婚をした息子のために

2019年3月25日、61歳のアメリカ人女性が、同性婚を
した息子とそのパートナーのために代理出産をしました。
2019年4月3日の「BBC News JAPAN」からです。

 

アメリカ、ネブラスカ州のセシル・エレッジさんは、
息子のマシュー・エレッジさんと、彼のパートナー
であるエリオット・ドーティさんの子どもを出産
しました。

 

生まれたのは女の子。
ウーマ・ルイーズちゃんと名づけられたマシューさん
とエリオットさんの娘は、セシルさんの孫娘でもあり、
セシルさんの子どもでもあります。

 

 

 

冗談でしょ?

息子のマシューさんとエリオットさんが、家族を持ち
たいと母親のセシルさんに話した時、彼女は自ら代理
出産を申し出たということです。

 

しかし2人は笑うだけでした。
当時59歳だったセシルさんの提案は、一種の冗談と
しか受け止められず、現実的なものとは考えられな
かったのです。

 

しかし、自分のことよりも他者を大切にする彼女に
対して、エリオットさんは、
「本当に美しい思いやりだと思いました」といいます。

 

 

左がマシュー・エレッジさん
ウーマ・ルイーズちゃんを抱くセシル・エレッジさん
右がマシューさんのパートナーエリオット・ドティーさん

 

 

 

冗談が現実に

ところが、セシルさんと同じ州に住むマシューさん
とエリオットさんは、子どもをもつ選択肢を探して
いるなかで、セシルさんの提案もありえるかもしれ
ない、と不妊治療専門医から告げられたのです。

 

問診と一連の検査後、セシルさんは代理出産が可能
との診断をされました。

 

「私は非常に健康志向なので、赤ちゃんを妊娠できる
はずだと、全く疑っていませんでした」
子どもは、マシューさんの精子と、エリオットさんの
妹であるレア・イリブさんの卵子を使って、体外受精
で誕生しました。

 

美容師のエリオットさんは、異性カップルにとって
は体外受精というのは、最後の手段かもしれないが、
自分たちにとっては、血のつながった子どもをもつ
ための「唯一の望み」だったと述べました。

 

公立学校教師のマシューさんは、
「これについては、自分たち独自のやり方、枠に
とらわれない方法が必要だと、最初から承知して
いたので」
と付け加えます。

 

 

 

妊娠検査薬は「陰性」?「陽性」?

受精卵の移植が成功したかを確認するため、
セシルさんは妊娠検査薬を使いました。

 

「ダメだと言われていたけれど、息子たちは
待ちきれない様子だった」
というセシルさんは、検査薬の判定が「陰性」
だったことに愕然とします。

 

母親を慰めに訪ねてきた息子のマシューさんが
検査薬を見てみると、「陽性」を示すピンク色
の線が出ていたのです。

 

セシルさんは、自分の視力がいかに衰えている
笑いながら、
「本当に嬉しい瞬間だった」
と語ります。

 

息子のマシューさんとエリオットさんは、
「ママは何も見えないけど、出産はできる」
と笑いながら言ったといいます。

 

 

左から
エリオットさんの妹で卵子提供者のレア・イリブさん
エリオット・ドーティーさん
マシューさんの母のセシル・エレッジ
精子提供をしたマシュー・エレッジ

遺伝的には両端の男女が父母で、
右から2人目の女性が代理出産し、
2人の男性が育ての親となる

 

 

 

残る差別

セシルさんの妊娠に対して、家族全員、特に
マシューさんのきょうだい2人は、前向き
でした。

 

「どういうことかみんなが理解してからは、
全面的に応援してくれました」
と語るセシルさんですが、今回の妊娠により、
ネブラスカ州の性的少数者(LGBT)家族が
どういう差別を受けるかということも、浮き
彫りになりました。

 

ネブラスカ州では、同性愛者の結婚は、
2015年の最高裁判決以降、合法ですが、
性的指向に基づく差別を禁止する州法は
存在しません。

 

2017年までは、ゲイ取れずビアンが里親になる
ことを禁止する数十年前の州法を適用し続けて
いました。

 

 

 

医療費の払い戻しも受けられず

その上、セシルさんが出産したのが自分の子ども
だった場合には支給されたはずの医療費の払い戻し
を、保険会社は認めませんでした。

 

セシルさんは、保険会社と争いましたが認められ
ませんでした。

 

赤ちゃんを出産する人物を母と定める法律により、
出産証明書には母セシルさんと、息子のマシュー
さんの名前は記載されていますが、エリオットさん
の名前は除外されています。

 

「本当にたくさんのことが障害になるかもしれず、
これは本当にごくごくわずかな一例に過ぎない」
とセシルさんは言います。

 

 

 

宿場を追われたマシューさん

マシューさんは4年前、当時勤めていたオマハに
あるスカット・カトリック高校にドーティさんと
結婚する予定だと伝え解雇され、大きく報じられ
たことがありました。

 

学校側の対応は、地元で激しい抗議を巻き起こし、
保護者や卒業生、在校生が、
「マシューさんと将来の教員に対する雇用差別を
終わらせる」ようも止めるオンライン申し立てを
作成すると、10万3000人近くの支持が得ました。

 

典型的な一般家庭だというセシルさんの家族は、
LGBTの人々や家族に対する「憎悪」に対抗する
ために、家族の経験談を共有し、「そこには常に
希望がある」と伝えました。

 

 

 

「何もかも、なるなるべくして……」

マシューさんと家族に対する否定的な反応について
「個人的に受け止めないようにすることを学んで
きた」
といい、

 

「結局のところ、私たちには家族がいて、友人が
いて、私たちを支えてくれる巨大なコミュニティが
ある」
「この小さな女の子を、本当に大勢の人が応援して
くれています。
愛情あふれる家族に囲まれて成長します。
何もかも、なるべくしてこうなりました」
と語りました。

 

 

 

 

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