「日本国憲法の誕生を検証する」ベアテ・シロタ・ゴードン、西修 インタヴュー2

草案

ベアテ草案 ベアテ・シロタ・ゴードン案は
憲法の中に人権・男女平等を基本にたくさん
の案が盛りこめられた。

ほとんどが削除されたその中で、第14条の
「法の下での平等」と第24条「家族生活に
おける個人の尊厳と両性の平等」は成文化、
生存権的基本権がすでに打ち出されていた。

○現行憲法第24条、第25条、第27条
第19条 妊婦と幼児を持つ母親は国から保護される。
必要な場合は、既婚未婚を問わず、
国から援助を受けられる。非嫡出子は法的に
差別を受けず、法的に認められた嫡出子同様
に身体的、知的、社会的に成長することに
おいて権利を持つ。

第20条 養子にする場合には、その夫と妻の
合意なしで家族にすることはできない。
養子になった子どもによって、家族の他の者
たちが不利な立場になるような特別扱いを
してはならない。
長子の権利は廃止する。

第21条 すべての子供は、生まれた環境に
かかわらず均等にチャンスが与えられる。
そのために、無料で万人共通の義務教育を
八年制の公立小学校を通じて与えられる。
中級、それ以上の教育は、資格に合格した
生徒は無料で受けることができる。
学用品は無料である。
国は才能ある生徒に対して援助することができる。

第24条 公立・私立を問わず、児童には、医療・
歯科・眼科の治療を無料で受けられる。
成長のために休暇と娯楽および
適当な運動の機会が与えられる。
第25条 学齢の児童、並びに子供は、賃金の
ためにフルタイムの雇用をすることはできない。
児童の搾取は、いかなる形であれ、これを禁止する。
国際連合ならびに国際労働機関の基準によって、
日本は最低賃金を満たさなければならない。

第26条 すべての日本の成人は、
生活のために仕事につく権利がある。
その人にあった仕事がなければ、その人の
生活に必要な最低の生活保護が与えられる。
女性はどのような職業にもつく権利を持つ。
その権利には、政治的な地位につくことも
含まれる。
同じ仕事に対して、男性と同じ賃金を受ける
権利がある。

 

○現行憲法第24条の下敷き
第18条 家庭は、人類社会の基礎であり、
その伝統はよきにつけ悪しきにつけ
国全体に浸透する。
それ故、婚姻と家庭とは法の保護を受ける。
婚姻と家庭とは、両性が法律的にも社会的
にも平等であることは当然である。
このような考えに基礎をおき、親の強制ではなく
相互の合意にもとづき、かつ男性の支配ではなく
両性の協力にもとづくべきことをここに定める。
これらの原理に反する法律は廃止され、それに
かわって配偶者の選択、財産権、相続、住居の
選択、離婚並びに婚姻及び家庭に関するその他
の事項を、個人の尊厳と両性の本質的平等の
見地に立って定める法律が制定されるべきである。

 

Book
2006/05 『ベアテさんのしあわせの
つかみかた』毎日新聞社、
ISBN 4620317667==「政治的な意見や
子育てについての意見がだいたい
同じであるパートナーを選ぶ」
「いつもふたりで考える」

2006/04 『ベアテと語る「女性の幸福」
と憲法』晶文社、ISBN 4794966970 /
インタビュア: 村山アツ子、構成: 高見澤たか子

1999/08『私は男女平等を憲法に書いた』
(講演録、新潟ウィメンズ企画
Women’s studies in にいがた)新潟ウィメンズ企画

 

1997/01 The Only Woman in the Room – A Memoir
講談社インターナショナル、ISBN 4770021453

 

1995/10 『1945年のクリスマス 日本国憲法に
「男女平等」を書いた女性の自伝 』(構成・
文:平岡磨紀子)、柏書房、ISBN 4760110771
/普及版(2001年6月)、講談社インター
ナショナル、ISBN 477002732X

「女性の権利の問題だが、日本には、
女性が男性と同じ権利を持つ土壌はない。
日本女性には適さない条文が目立つ」
通訳として会議に出ていた私は、日本側
の言い分を正確に伝えなければいけない。
気持ちは複雑だった。
「しかし、マッカーサー元帥は、占領
政策の最初に婦人の選挙権の授与を
進めたように、女性の解放を望んで
おられる。
しかも、この条項は、この日本で育って、
日本をよく知っているミス・シロタが、
日本女性の立場や気持ちを考えながら、
一心不乱に書いたものです。
悪いことが書かれているはずはありません。
これをパスさせませんか?」
ケーディス大佐の言葉に、日本側の佐藤
達夫さんや白州さんらが一斉に私を見た。
彼らは、私を日本人に好意を持っている
通訳として見ていたので、びっくりした
のだった。
一瞬、空白の時があった。
「このシロタさんが?
それじゃあ、ケーディス大佐の
おっしゃる通りにしましょう」
(本書、p.216)

 

Movie
2004「ベアテの贈りもの」藤原智子監督
==父シロタのピアノ演奏が使われている.
「日本国憲法」 ジャン・ユンカーマン監督

 

 

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